大宮駅東口の大型再開発プロジェクトとして注目を集めた「大宮門街」。
総事業費約658億円を投じて誕生したこの複合施設ですが、開業から約2年半が経過した現在、期待されていた賑わいには至らず「失敗」との声も少なくありません。
商業施設としての集客力の弱さや、テナントの業種構成が医療系に偏っている点など、課題が浮き彫りになっています。
一方で、静かな環境を好む利用者には好評の声も聞かれ、利用者層によって賛否が分かれている現状です。
本記事では、大宮門街の現状と課題、そして地域住民や利用者の声を通じて「本当に失敗なのか?」という視点から掘り下げていきます。
記事のポイント
- 空きテナントの現状と運営会社の体制
- 実際に訪れた際の「ガラガラ」としたビルの様子
- フロアガイドから見える動線設計や施設利用の課題
- 施設全体が医療モール化しつつある現状と商業施設としての集客力の弱さ
大宮門街(かどまち)はなぜ失敗したと言われるのか?ガラガラという噂を解説
- 大宮門街が失敗と言われるのはなぜ
- 大宮門街は空きテナントだらけって本当?
- 門街(かどまち)について大宮住民や施設利用者の声
- 門街(かどまち)の運営会社はとは
大宮門街が失敗と言われるのはなぜ
大宮駅東口の大規模再開発プロジェクトとして期待された大宮門街ですが、約658億円という巨額の総事業費に対して、その成果を疑問視する声が多く聞かれています。
最も大きな課題は、【東日本の玄関口・大宮】にふさわしい賑わいの創出という当初の目標が達成できていない点です。
特に商業施設としての機能に関して、地域住民や利用者からの評価はあまり良くありません。
施設の設計面でも問題点が浮き彫りになっています。
大規模なイベント機材の搬入が難しい構造や、上の階の市民会館への分かりにくい動線設計など、使い勝手の悪さが目立ちます。
また約491億円もの税金が投入された噂があるにもかかわらず、その投資効果が見えづらいという批判の声も多く聞かれます。
当初掲げられた「ゆきあうカド 人つなぐマチ」というコンセプトと、実際の施設の利用状況との間にある大きなギャップが、失敗と評価される主な原因となっているようです。
大宮門街は空きテナントだらけって本当?
テナントの入居状況について、実態を見てみると、うわさで言われているほど深刻な状況ではないかもしれません。
さいたま市の公表データによれば、建物全体の入居率は84%を維持しており、特にオフィス棟については100%の入居率を達成しています。
ただし、商業施設部分に限ると入居率は66%に留まっており、期待される賑わいの創出という点では課題が残ります。
特に問題視されているのは、入居テナントの業種構成です。
当初想定されていた商業施設としての機能よりも、クリニックなど医療施設の比率が高くなっており、集客力のある商業テナントの誘致があまり進んでいません。
賃料の高さや契約条件の厳しさが、新規テナントの参入を難しくしているとの指摘も聞かれます。
実際に現地で撮影した1階の空きテナントの様子です。
また、開業から2年半ですが、この張り紙を見てもわかるようにすでに閉店した店舗もあります。
残念ながら、この2店舗はどちらも2024年に閉店してしまったようです。
門街(かどまち)について大宮住民や施設利用者の声
大宮門街に対する口コミには、地元住民や利用者からの厳しい意見が多く見られます。
特にテナントの少なさが目立ち、「人が少なく、まるでゴーストタウンのよう」と感じる人も多くいます。
また、立地は良く、建物もスタイリッシュでおしゃれという評価もありますが、期待していたような賑わいがなく、ショップが少ないため、買い物には不便だと感じる声も上がっています。
「買い物をする場としては物足りない」との印象が根強いようです。
さらに、医療施設やクリニックが充実している一方、商業施設としての華やかさが欠けていると感じる人も多く、「少し重い雰囲気で、明るさに欠ける」といった意見が寄せられています。
建って数年でエスカレーター止まってるのまずい。#大宮門街 pic.twitter.com/wCZVF2sd38
— Ryo ✨🇺🇸📉💸 (@ryoma_kitagawa) October 25, 2024
一方で、人混みが苦手な人にとっては、この静かな環境が逆に魅力と感じられるようです。(私もその一人です)
カフェエリアは特に「落ち着いていて仕事に集中できる場所」として好まれています。
このように、空いていることを利点と感じ、静かな場所でリラックスしたり仕事に集中したい人には、大宮門街がちょうど良い環境となっているようです。
門街(かどまち)の運営会社はとは
大宮門街の運営体制は、18の企業・団体で構成される管理組合が中心となって進められています。
その中でも主要な役割を担っているのが、「さいたま市」「株式会社中央デパート」「大栄不動産株式会社」の3者で、管理組合の定期部会員として施設の運営に携わっています。
特に商業エリアについては、「大宮門街EAST/WEST」として株式会社中央デパートが統括・運営を担当しています。
施設全体の方向性を決める重要な決定には、これら運営主体による慎重な協議が行われているようです。
統括・運営を担当している「株式会社中央デパート」は大宮東口の歴史を語るうえで欠かせない存在です。
詳細については記事後半で解説します。
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大宮門街(かどまち)が失敗した理由とは?本当にガラガラなのか現地を調査
- なぜ大宮門街は閑散としているのか?その原因を探る
- フロアマップと写真から見えてくる「ガラガラ」の理由
- 大宮門街はなんの跡地だった?
- 門街(かどまち)の建設に投入された税金の額
なぜ大宮門街は閑散としているのか?その原因を探る
大宮門街が「失敗」や「ガラガラ」と評価される背景には、いくつかの構造的な問題が浮かび上がってきます。
最も顕著なのが、商業テナントの入居率が66%と低迷している点です。
特に問題視されているのは、商業施設としては致命的な空きテナントの多さです。
当初期待された賑わいのある商業空間とは異なり、クリニックや医療機関が目立つ構成となり、「雑居ビル化」との批判を受けています。
施設のデザインにも大きな課題があります。
エスカレーターの配置により自然光が入りにくく、「門街広場」には閉塞感があるとの指摘が多く聞かれます。
また、屋上庭園やテラスの緑化が不十分で、当初計画していた憩いの空間としての機能を果たせていません。
エントランスや通路の照明不足、通路幅の狭さなども利用者が暗いと感じる要因となっているようです。
加えて、高額な賃料設定と厳しい契約条件も、新規テナントの参入を難しくしている要因として挙げられます。
前述の通り、2024年3月には、開業当初から入居していた「ザ・ガーデン自由が丘」の閉店が決まるなど、集客の核となるべき店舗の撤退も相次いでいます。
この状況を打開するには、賃料の見直しや、より柔軟な契約条件の設定、さらには施設全体のリニューアルを含めた抜本的な改革が必要かもしれません。
フロアマップと写真から見えてくる「ガラガラ」の理由
大宮門街が「ガラガラ」と言われる背景には、いくつかの要因が考えられます。
実際に訪れた方はもちろん、写真を見ただけでもその理由が見えてくるでしょう。
YouTubeに私が大宮門街を歩いた動画をアップしました。
動画の方がわかりやすいという方はぜひご覧ください。
まず、全体の動線設計に問題があり、施設内の移動が分かりにくく感じられます。
さらに、商業施設というよりも医療機関が充実しており、買い物を目的とする利用者には不向きです。
また、駅からのアクセスは良いものの、他の商業施設と異なる客層をターゲットにしているため、訪れる人が少ない現状があります。
こちらは2024年9月の門街のフロアマップです。
マップを見てもわかる通り、建物自体が複雑な構造です。
また、「Coming soon」の文字ばかりで、空きテナントの多さがわかります。
正直、こんなに空きテナントだらけのフロアマップを見たのは初めてです。
ここからさらに大宮門街がガラガラの理由を3つのポイントに分けて深掘りします。
あくまで現地での個人的な感想ですが、参考にしていただければと思います。
建物の動線が悪い
大宮門街の複雑な動線は、初めて訪れる人にとって迷いやすく、特にエスカレーターの配置がわかりにくいです。
例えば、EASTの2階から3階へのエスカレーターが利用できないため、中央エスカレーターまで戻るかWEST側まで移動しなければなりません。
こうした構造では、施設内をスムーズに回遊することが難しく、訪れる人にとって動線の悪さが負担になっていると考えられます。
商業施設というより医療施設
大宮門街には、多数のクリニックが入居しており、商業施設というよりも「医療モール」としての機能が目立っています。
3階から4階は特に医療関連の施設が充実しており、内科、耳鼻咽喉科、産婦人科など、多岐にわたる専門クリニックが揃っています。
これにより、健康診断や治療のために訪れる人には利便性が高い一方で、一般的なショッピングを求める人にとっては物足りない印象を与えています。
商業施設として見た場合、期待される店舗数や種類が少なく、「買い物をする場」としての認識が浸透しにくいことが課題です。
門街の立地とターゲット層の不一致
大宮駅から徒歩圏内にあるものの、駅前にはすでに多くの商業施設が並び、買い物スポットには事欠きません。
また、「旧中山道」を渡る場所に位置するため、駅周辺の買い物客がわざわざ立ち寄るには特別な理由が必要になる立地です。
さらに、駅前の「ルミネ」や「アルシェ」など、若者や幅広い層が気軽に利用できる店舗が充実しています。
一方で、大宮門街のテナント数は少なめで、飲食店もやや高級志向のものが多く見受けられます。
この構成が、近隣の消費ニーズと合致していないのが現状です。
1階にあるモスバーガーやドトールコーヒーが賑わっている点を考えると、大宮駅東口は若年層の比率が高いような印象です。
結果として、大宮門街は想定する客層(そもそもターゲットが不明)と実際の来訪者層にズレが生じ、集客の難しさに繋がっていると考えられます。
大宮門街はなんの跡地だったのか
大宮門街がある場所は、かつて「大宮中央デパート」があった跡地です。
大宮に馴染みのない方には、なぜ駅近にこんな大きなビルが建つスペースがあったのか不思議に感じられるかもしれません。
1966年(昭和41年)に開業した大宮中央デパートは、当時としては珍しい高層建築で、屋上には観覧車を備えたミニ遊園地もありました。
大宮駅東口の象徴ともいえる存在で、特に地元住民にとっては思い出深い場所でした。
たとえば、「フタバスポーツ」などの個性的な店舗が、多くの人々に親しまれていました。
この地域はもともと氷川神社の門前町や中山道の宿場町として栄え、大宮駅の開業とともに商業の中心地として発展してきました。
中央デパートの解体後、その跡地に地上18階・地下3階の複合施設が建設され、2022年4月に大宮門街として生まれ変わったのです。
下の写真は、さいたま市HPアーカイブズセンターギャラリーにある昔の大宮東口の写真です。
中央デパートの看板が写っており、周囲の建物よりもひときわ高いビルだったことがよくわかります。
門街(かどまち)の建設には税金がいくら使われたのか?
大宮門街の建設費について、多くの方が疑問を抱いているのではないでしょうか。
「大宮 門街 税金」というキーワードで検索される方も多いようです。
ネット上では、さいたま市議の吉田一郎議員が491億円の税金が投入されたと指摘している情報が拡散されています。
私も「ふろ」さんのnote記事でこの情報を見つけ、吉田議員のX(旧Twitter)の投稿などを確認しました。
「ふろ」さんのNOTEの記事はこちら
https://note.com/opt_floc/n/n9bfeeb14a13f
すでに多くの方が読まれていると思いますが、大宮門街について詳しくまとめてくれています。
まだの方は是非「ふろ」さんのnoteの記事を読んでください。
実際に491億円という金額について、吉田市議のレポート情報以外には詳細な情報を得ることはできませんでした。
とはいえ、YouTuberの「のぶりん」さんが投稿した大宮門街についての動画が70万再生を超えていることから、市民や利用者の関心が非常に高いということの裏返しでしょう。
吉田一郎議員が大宮門街の建設費について演説で話している動画はこちらです。
総事業費は約658億円という大規模なプロジェクトであり、多くの市民の税金が投入されていることは間違いないでしょう。
だからこそ、大宮門街が成功し、市民が有効活用できる施設になってほしいと願う気持ちを持っているはずです。
現在、大宮門街はテナントが十分に埋まっていない状態であり、「ガラガラ」とか「失敗」といった声も聞かれます。
しかし、中央デパートの跡地という歴史的な場所だけに、多くの人がこの場所が活性化することを期待しているはずです。
今後、魅力的なテナントが入居し、多くの人で賑わう施設となることを期待しましょう。
そして、さいたま市には、大宮門街の活性化のために、より積極的に取り組んでほしいと願います。
大宮門街がガラガラで失敗したと言われる理由について総括
以下、記事のポイントをまとめます。
ポイント
- 大宮門街は大規模再開発プロジェクトで、総事業費は約658億円
- 期待された賑わいの創出に失敗し、「ガラガラ」という評価が多い
- 商業施設としての機能が弱く、クリニックなど医療施設の割合が高い
- 商業テナントの入居率は66%で、集客力に課題がある
- 高額な賃料や厳しい契約条件が、新規テナント参入の妨げとなっている。
- 設計上の問題として、動線の複雑さやエスカレーターの配置が不便
- 屋上庭園やテラスの緑化が不十分で、憩いの空間としての役割が薄い
- 税金491億円が投入されたとの噂があるが、その効果が見えづらいと批判されている
- 立地と客層のミスマッチがあり、若者や買い物客の足が遠のいている
- 多くの市民は大宮門街の活性化と賑わい創出を期待している