埼玉県東部に位置する春日部駅は、1日約63,000人が利用するターミナル駅です。
アニメ「クレヨンしんちゃん」の舞台としても知られ、春日部市の玄関口として親しまれてきました。
しかし、長年の課題となっていた東西の往来の不便さを解消するため、2031年の完成を目指して高架化工事が進められています。
この高架化には、踏切による渋滞解消や東西市街地の一体化など、複数の目的があります。
特に駅の反対側へ行くために入場券を購入したり、遠回りをしたりする必要があった不便さは、多くの利用者から改善を望む声が上がっていました。
現在、東口では新しい改札口や通路が完成するなど、工事は着実に進んでいます。
一方、西口はこれからの着工となりますが、高架化完了後は春日部の街並みが大きく変わることが期待されています。
この記事では、春日部駅の高架化工事の現状とメリットやデメリットについて詳しく解説します。
記事のポイント
・春日部駅高架化のイメージ図の紹介
・東口の高架化工事の進捗状況
・西口の再開発とイトーヨーカドーの閉店について
・春日部駅高架化のメリットとデメリット
春日部駅の高架化のイメージとは?東口から見た高架化の進捗状況
- 春日部駅東口の様子
- 春日部駅東口から見た高架化イメージ図
- 新しくなった1番線ホームと現在の春日部駅構内図
- 春日部駅の高架化はいつ完成?
- 春日部駅は高架化のメリット
春日部駅東口の様子
春日部駅では現在、高架化工事が進められています。
東口では改札口が新しくなり、2階の通路や1,2番線ホームが整備されました。
2024年10月に撮影した東口駅前ロータリーの様子です。
ご覧の通り、駅舎沿いの壁の設置状況から判断すると、東口の高架化工事は現在進行中で、完成までにはまだしばらく時間がかかることが予想されます。
この場所は以前、ケンタッキーフライドチキンやコージーコーナーなどの店舗が並んでいました。
ちなみにケンタッキーフライドチキンの店舗はユリノキ通り沿いに移転して営業しています。
東口ではなく、ユリノキ通りに移転してしまったことは東口の利用者にとって少し残念かもしれませんね。
春日部駅東口から見た高架化イメージ図
駅前で高架化のイメージ図を探してみましたが、完成図のような公式の看板などは見当たりませんでした。
唯一目にしたのは、イラストレーターの「はたみすず」さんが描いたいめーです。
このイラストには「市が作成したもので、関係者との調整済みではない」という但し書きが添えられています。
とはいえ、このイラストを見ると新しい駅前の姿に期待が膨らみます。
高架化後は、イラストのように多くの人で賑わう東口になることが期待されています。
新しくなった1番線ホームと現在の春日部駅構内図
高架化工事に伴い、1番線ホームが刷新されました。
2024年5月11日まで使用されていた旧ホームから南側に移動し、新1・2番線ホームとなっています。
この移動により、北側通路からは新ホームへ直接アクセスできなくなりました。
新1・2番線ホームへは、新設された長い通路を通る必要があります。
下の写真は2024年10月に撮影した春日部駅の構内図です。
こちらも高架化工事が進むにつれて変更されることになる可能性があります。
そう考えるとこの構内図は高架化の歴史がわかる案内図になりそうです。
春日部駅の高架化はいつ完成?
高架化工事の完了は2031年を予定しています。
1日約63,000人が利用する埼玉東部の主要駅でありながら、これまで高架化されていなかったため、様々な不便が生じていました。
特に東西の行き来には課題がありました。
反対側に行くには駅構内を通る必要があり、その際は入場券の購入が必要です。
駅構内を避けて地下道や踏切を利用すると、徒歩約10分かかってしまいます。
この不便さを解消するのが、今回の高架化工事の目的の一つとされています。
以下の記事ではもっと詳しく春日部駅の東西を行き来するルートについて解説しています。
こちらもCHECK
-
春日部駅を通り抜けるには入場券が必要?その理由や地下道を通るルートを解説
春日部駅の通り抜けに、不便さや疑問を感じている方は多いはずです。 なぜ駅の反対側に行くのに入場券が必要なのか? 地下道や踏切など遠回りするルートしかないのはなぜなのか? 春日部駅の東西を行き来する際に ...
続きを見る
春日部駅は高架化のメリット
春日部市のHPによると、高架化には以下のメリットがあるとされています。
春日部駅高架化のメリット
- 複数の踏切を一挙に除却することで、渋滞や事故を解消できる
- 鉄道により分断されているまちの構造が解消され、市街地が一体化することで周辺住民などの利便性が向上する
- 東西市街地が一体化することで、中心市街地全体の活性化が期待できる
- 駅部の高架化によって新たに生じる高架下空間の活用が可能となる
- 駅を含めた鉄道施設の改良(リニューアル)により、快適性や安全性が向上する
※春日部市HPからの引用
個人的には、東西市街地の一体化が最大のメリットだと考えています。
かつて東口には、ロビンソン百貨店やニチイ(サティ)があり、春日部市民文化会館などの施設も立地しているため、いつも賑わっていました。
特にロビンソン百貨店が営業していた頃の旧日光街道沿い(ロビンソン通り)は商店が軒を連ね、活気に満ちていましたが、現在はシャッターが閉まった店舗が目立ちます。
一方、西口にはララガーデン春日部や、春日部市役所、パスポートセンターが入る「ふれあいキューブ」など、公共施設が集中しています。
そのため、西口で用事が済んでしまい、人の流れが東口まで及びにくい状況が続いています。
なお、活気ある西口にも変化の波が押し寄せています。
52年(現在地では27年)の歴史を持つイトーヨーカドー春日部店が2024年11月24日(日)に閉店を迎えます。
イトーヨーカドー春日部店については後編で詳しく解説します。
こちらは高架化工事中の春日部駅からみた西口の景色です。
イトーヨーカドーの看板が見れるのも残りわずかだと思うと寂しいですね。
春日部駅の高架化のイメージとは?西口から見た高架化の進捗状況
- 春日部西口の様子
- 再開発中の春日部駅西口
- 52年の歴史に幕を閉じるイトーヨーカドー春日部店
- 春日部駅の高架化のデメリットとは?
春日部西口の様子
2024年10月現在、西口の改札口付近ではまだ高架化工事の姿は見られません。
駅舎沿いには今もサーティーワンアイスクリームやタリーズコーヒーなどのお店が並び、変わらぬ日常が続いています。
ただ、これらの店舗も工事が始まれば東口にあった店舗同様に場所を移す必要がありそうです。
西口に掲示されている高架化のイメージ図は、長い時間の経過で色あせてしまい、あちこちにひび割れが入っています。
残念ながら、完成後のイメージを詳しく見ることは難しくなってしまいました。
再開発中の春日部駅西口
春日部市のHPのイメージ図を見ると、西口エリアも新しい姿に生まれ変わる予定です。
今の西口は、駅前ロータリーにゆとりがあり、藤通りには多くの店舗が立ち並んでいます。
ただ、改札から北に歩くと、イトーヨーカドー付近には懐かしい雰囲気の路地が残っています。
また、多くの人が利用していた駅前の大きな駐輪場は撤去工事中で使えない状態です。
日頃から自転車を使っている方には、少し不便な状況が続いています。
春日部駅高架化のイメージ図はこちらです。
このイメージ通りになるとは考えにくいですが、それでも現在の西口の姿とは全く違う、都会的な駅前広場になることが予想されます。
52年の歴史に幕を閉じるイトーヨーカドー春日部店
長年、地域の住民に愛されてきたイトーヨーカドー春日部店。
2024年11月14日(日)についに閉店を迎えます。
1972年に旧大塚家具春日部のショールーム跡で開業し、1996年に今の場所に移ってからも27年の思い出を刻んできました。
春日部が舞台のアニメ「クレヨンしんちゃん」では「サトーココノカドー」として登場し、アニメファンにとっての大切な場所にもなっています。
残念ながら、イトーヨーカドー全体の店舗整理の波が、この春日部店にも及ぶことになりました。
この日も台湾や韓国などから多くのクレヨンしんちゃんファンがイトーヨーカドー春日部店に来ていました。
3Fには「サトーココノカドー」とのコラボグッズが販売されており、クレヨンしんちゃんの展示スペースもあります。
アニメの聖地としても有名だっただけにイトーヨーカドーの閉店は春日部にとって大きな痛手となりそうです。
春日部駅の高架化のデメリットとは?
高架化には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も指摘されています。
主なデメリットとして
1:高架と地下は建て替えが困難
2:地上の駅と比べてメンテナンス費用が増加
こちらの記事は春日部の高架化について専門的でとてもわかりやすくまとめられていました。
もっと詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。
とはいえ、高架化によるメリットは、これらのデメリットを大きく上回ると考えられます。
2031年の完成を機に、春日部はさらなる発展を遂げることでしょう。
駅利用者にとっても、利便性が大きく向上する高架化の完成が待ち遠しい状況です。
春日部駅の高架化イメージについて総括
以下、記事のポイントをまとめます。
まとめ
・東口では改札が新しくなり、2階への通路も完成。工事は順調に進行中
・新1・2番線ホームが南側に移動し、長い通路経由でのアクセスに変更
・西口はまだ工事開始前で、駅前の店舗は通常営業を続けている
・完成は2031年予定。東西の往来がスムーズになり、市街地の一体化を目指す
・高架下の活用や踏切渋滞の解消など、複数のメリットが期待される
・東口の再活性化と西口の再開発により、街全体の発展が見込まれる